2024.11.25 <東アジア若手研究者合同研究フオーラム>발표

日本の近代にとって、鉄道と機関車は先進的な近代文明のシンボルであり、植民地支配のシンボルでもある。植民地「満州」では、かつて「陸上の王者」と呼ばれる世界最先端の特急列車――「特急あじあ」が疾走していた。植民支配の特権階級しか乗れないこの豪華列車は、子どもの世界において、憧れの対象ないし一種の信仰として作り上げられ、多くの子どもの「大陸夢」を育てた。本発表は、戦時の児童文学における「特急あじあ」を一つの文学空間として、その空間の外から描写された「特急あじあ」、「特急あじあ」の内部(車室)、外部(沿線の風景)という三つの視点からこの豪華列車がいかに信仰的なものとして創出されたのかを探究した。